ゲスト講演「広域行政を巡る現状と今後の動き」
1月12日火曜日、5時限目の本大学院講義「地方行政実務 (秋月謙吾教授担当) 」の後半部分において、京都府政策企画部計画課・小谷充茂参事をゲストスピーカーとしてお招きしました。講義ではまず、広域行政の必要性や、地方公共団体間の事務の共同処理の仕組みについて、ご説明いただきました。また、道州制についても言及された後に、「関西広域連合(仮称)」のあらましについてもお話しいただきました。
少子高齢化や環境問題といった府県の枠を超える問題の存在、財政悪化に伴う行政のスリム化の要請、市町村合併の進展といった要因から、広域行政が必要であるとのことでした。その上で、現在行われている事務の共同処理制度とその運用状況、とりわけ「一部事務組合」と「広域連合」との相違点をご説明いただきました。また、京都府内における新しい動きとして、2つの広域連合をご紹介いただきました。
その後、中央集権の行き詰まりや、国・地方の財政悪化、東京一極集中、市町村合併の進展といった背景から、道州制の導入が検討されていることをお話しいただき、地方制度調査会や政府等で、道州制を巡りどのような議論がなされてきたかをご紹介いただきました。
ただその上で、現在、道州制とは別に「関西広域連合(仮称)」の設立が議論されていることをご紹介いただき、基本方針や事務の内容、組織といったあらましについてお話しいただきました。広域連携と比較し、広域連合には関西全体の広域行政における明確な責任主体としての意義があるとのことでした。また、各府県から権限を除外して事務を持ち寄るため、各府県と重複して事務処理をすることにはならないとされました。
学生からの質問にも丁寧にお答えいただき、大変有意義な時間となりました。
2010-01-12 23:30:46ゲスト講演「京都府の農林水産行政」
1月12日火曜日、5時限目の本大学院講義「地方行政実務 (秋月謙吾教授担当) 」の前半部分において、京都府農林水産部農政課・籠見徳彦参事をゲストスピーカーとしてお招きしました。講義ではまず、京都府の農業の特徴や実態をご説明いただきました。京都府では府域の7割が中山間地域であり、大規模農家を育成することは不利であるという実情があります。しかし、それゆえに早い段階から京都府は農林水産物の高付加価値化を図られてきました。元々、京の伝統野菜に関しても、京都府は昭和53年から農業試験場等で品種の保存や品種改良などに取り組んでこられているそうです。それに加え京都府では、京野菜のブランド戦略も推進してこられました。昭和63年に「京都府内産農林水産物のブランド確立に関する基本指針」を策定し、平成2年には「京のふるさと産品協会」を発足することで京のブランド産品の確立にむけたさまざまな取り組みが行われてきたとのことでした。
そして平成14年度から「ブランド京野菜等倍増戦略」に取り組んでおられます。この背景としては、京野菜の人気が高くなり、他府県産の京野菜が増加してきたことや、輸入野菜の残留農薬問題等、「食」への信頼感の低下と農産物の安心安全に関する社会的意識が高まってきたことを挙げられました。その中で、京野菜こだわりプロジェクト(減農薬・化学肥料による安定生産「京都こだわり農法」の推進等)やブランド京野菜等倍増戦略推進事業(京都産京野菜の信頼の証である京マークのPRや京のブランド産品の取扱店舗の拡大)などに取組み、平成19年度には出荷量は過去最大を記録した、とのことでした。
先進的な京都府の農業ブランド戦略に対し、学生の方からも活発な質問がなされそれに対しても丁寧にお答えいただき、大変有意義な講演となりました。
2010-01-12 23:25:48ゲスト講演「文化力による京都の活性化について」
12月22日火曜日、5時限目の本大学院講義「地方行政実務 (秋月謙吾教授担当) 」において、京都府文化芸術室・山内一室長をゲストスピーカーとしてお招きしました。講義では、我が国の文化行政の執行体制について触れられた後、「京都府文化力による京都活性化推進条例」と、それを執行するための基本指針である「21世紀の京都文化力創造ビジョン」とをご紹介いただきました。その後、文化力により京都の活性化を推進するための施策とその推進体制についてご説明くださいました。
現在、文化行政は地方公共団体の長と教育委員会とが所管し、相互に連携・協力し行われています。その中で、京都府では文化という切り口から京都を支えることを目的とし、平成17年に「京都府文化力による京都活性化推進条例」を策定されたとのことでした。また、その執行のための基本指針である21世紀の京都文化力創造ビジョンにも言及され、「豊かな人間性の涵養」、「心豊かな地域社会の実現」、「より質の高い経済活動の実現」、「人類の真の発展に貢献」、「文化による国際交流を通じた相互理解の促進」といったことを目標としておられることをご説明いただきました。
そして、文化力による京都の活性化の推進のために、京都の文化芸術の継承・発展・創造、文化力による次世代の育成、文化力による京都の活性化、との観点から、様々な施策を行なっておられるとのことでした。また、それらの具体例として、京都文化博物館の再生や、平成23年に国民文化祭を京都で開催、小・中学生の能狂言などほんまもんの体験、京都アートフリーマーケット、文化ベンチャーコンペティション(企業化支援事業)等をご紹介くださいました。
こうした施策を、行政が行うのはもちろんのこととして、府民や文化活動の担い手、大学等教育機関、事業者等が連携し、社会全体で取り組むことの必要性を説かれ、講義を締められました。学生からの質問にも、丁寧にお答えいただきました。
2009-12-22 20:59:52ドイツ連邦共和国総領事 アレクサンダー・オルブリッヒ博士講演会「壁崩壊から20年」
2009年12月7日、法学研究科国際講演会として、ドイツ連邦共和国大阪神戸総領事、アレクサンダー・オルブリッヒ博士が「壁崩壊から20年」と題してご講演下さいました。当日は法学研究科の学生、教授のみならず、公共政策大学院の学生も多数来場し、多くの写真やビデオ放映などを含み、ベルリンの壁崩壊からドイツ再統一までを中心とした激動の時代を活写する興味深い講演に耳を傾けました。
まず、第2次大戦終了後の英仏米露による4カ国共同統治、ベルリン封鎖、壁の構築に始まるドイツ分断の歴史振り返りました。そして、ドイツ民主共和国(DDR)末期の社会の様相、人々の暮らしぶりから説き起こし、地方選挙における不正疑惑に端を発し、自由を求める人々の要求が汎ヨーロッパピクニックや、参加者が全人口の10%という規模のデモに至り、ついにはホーネッカー議長の退任、壁の崩壊へと至る過程と、東ドイツ市民への旅券発行のきっかけとなった小さな出来事との関連など、「歴史」というものの作られる過程を垣間見た思いのするご講演でした。
講演後には長い時間を割いて、学生からの質問に丁寧にお答え頂きました。学生からは東ドイツからの入国者に対する西ドイツの支援策について、再統一後もNATO軍としてドイツに駐留する米軍について、現在のドイツにおけるナショナリズムの状況についてなど、様々な質問が発せられ、オルブリッヒ総領事はひとつひとつ丁寧にお答えくださいました。
2009-12-10 23:34:20ゲスト講演「京都市の文化行政について」
12月8日火曜日、5時限目の本大学院講義「地方行政実務(秋月謙吾教授担当)」において、京都市文化市民局文化芸術都市推進室文化芸術企画課・池内正貢課長をゲストスピーカーとしてお招きしました。講義では、京都における文化行政の概要について述べられた後、京都市における文化行政のあり方に触れつつ具体的な事例をご説明いただきました。
京都は1200年の歴史の中で、伝統芸能等を産み出してきた文化的厚みがあるものの、その厚みに甘えた行政ではなく、さらに改革を進めていかなければならないとのことでした。具体的には京都文化芸術都市創生条例に基づき、平成19年度に京都文化芸術都市創生計画を策定し、施策を進めておられます。この計画では、21世紀のさきがけの原動力となる取組を「5つの京都先行プロジェクト」として掲げておられます。具体的には、(1)京都ならではの文化・景観・観光三位一体の取組の推進、(2)文化芸術による魅力ある地域のまちづくりの推進、(3)文化芸術による魅力ある地域のまちづくり、(4)新たな文化芸術を創出する若き人材の育成、(5)文化ボランティアなど市民参加による文化芸術都市づくりの5点に取り組んでおられるとのことでした。
また、今年度ルーヴル美術館展を開催した京都市美術館などの文化施設のマネジメントや、京都市動物園の再整備、二条城ウェディング、京都会館の改修など各事例について詳細にご紹介いただきました。これらの事業についても、最近は財政確保が非常に重要になってきていると指摘されていました。住民の側に文化行政を押し付けるのではなく、住民からの意見をも取り入れ協力を得ることが重要であり、その際に誠実な説明と情熱が必要であると語っていらっしゃいました。学生からも、文化行政における京都市の姿勢についてなど活発な質問がなされ、ご丁寧にお答えいただきました。
2009-12-08 06:06:40ゲスト講演「産学官連携の現状と今後の課題」
12月2日第3限目、本大学院「教育政策学」(教育学研究科・高見茂教授担当)の授業において、文部科学省研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室・岩田行剛専門官をゲストスピーカーとしてお招きし、「産学官連携の現状と今後の課題」と題した講演をお聞かせいただきました。
講義ではまず、高度成長期から現代に至るまでの国内外における科学技術政策の現状と流れや、日本における科学技術政策の基本的枠組みとなる「科学技術基本法」と「科学技術基本計画」、さらに現在遂行中の「第3期科学技術基本計画」についてご説明いただきました。その後、第3期科学技術基本計画においてイノベーション創出のための重要な手段とされている産学官連携について、目下の現状や、基本主体としての大学の現状と期待される役割、また連携の基礎となる知的財産制度とその活用など、広範なポイントを概説していただきました。
続いて、大学と企業との共同研究や、大学発ベンチャービジネス、大学の研究成果を企業が事業化した事例などをいくつかお示しいただき、産学官連携の実情や課題を、具体的に分かりやすくご紹介くださいました。まとめとして、産学官連携によるイノベーション創出のための事業の必要性を力説されたのが、大変説得力を持って聴く者の心に残りました。ご講演の後、学生の質問にも丁寧にお答えいただき、大変有意義な時間となりました。
2009-12-02 04:18:49麻生渡福岡県知事講演「地方分権 ―その展望と課題―」
平成21年11月26日(木)、京都大学公共政策大学院・法学部共催講演会に麻生渡福岡県知事をお招きし、「地方分権 ―その展望と課題―」と題しご講演いただきました。
講演ではまず、地方分権の必要性についてお話しいただきました。麻生知事は、中央政府に政策決定権が集中している現状において、その政策決定権と財源とを地方に移譲する地方分権は不可欠であると説かれ、その理由として以下の3点を挙げられました。1点目は、社会の変容です。とりわけ、少子高齢化が進む中で、どのような長寿社会を形成していくかが重要な課題となっている今日、高齢者の方の生活保障や子育て支援といった身近な問題に対し、地方に決定権を委ね、地方で効果的な政策を行うべきである、と述べられました。2点目は、地方の衰退です。過去10年間に、東京近辺では人口が増加しており、東京への一極集中が叫ばれています。これは決定権の集中を反映してのことですが、一つの拠点において決定情報が生まれてしまうことから、決定権や拠点を分散させ、地方の実情に合わせた行政を行う必要があることを、ドイツやアメリカといった諸外国の例も交えお話しいただきました。3点目は、日本の国家のあり方を変える必要があることです。20世紀に入り世界がグローバル化し、その中で国民国家の役割は後退するとの議論もなされる一方で、むしろ国家の役割は増大したと、知事は述べられました。なぜなら、世界を1つのルールで運営するにあたり、国家はそのルールを作る必要があるからであり、分権を徹底して行い、国家は国際戦略や国際ルール作りに専心すべきであると説かれました。
次に、今夏の政権交代により地方分権の動きにどのような影響があり、福岡県ではどのような政策を行なっておられるか、お話しいただきました。新政権下では、その具体的内容は必ずしも明確ではないものの「地域主権」が謳われており、地方にあたかも主権国家に準じるような完結した決定権を与えるという、従来の地方分権から思考を大きく飛躍させたものであると評価されました。このことは、全国知事会としても認識を共有する一方で、地方への権限と財源の一体的な移譲が今後の課題であると指摘されました。自公政権下での官僚主導型から、政務三役を中心とした政治主導型の政治へと転換した新政権下においては、地方分権を進めるための政治的条件が整ってきている、と知事は述べられました。しかし、地方行政は県民全体の生活に係るものであり、あらゆる政策に影響されることを指摘された上で、地方行政について2つの課題を挙げられました。1点目は、少子化対策です。知事は、少子化がこのまま進行することに危惧を抱いておられ、これが社会保障政策の分野に大きな影響を与えることを指摘されました。2点目は、経済政策です。福岡県では、世界経済に打って出るために、「福岡ニューディール」という17のプロジェクトを新しい時代に向けて、再編されたことをご紹介いただきました。そして知事は、資源も少ない日本は、今後は貿易、金融、知的財産、ソフト産業、農業といった分野を重視し、世界に勝負を挑むべき、とのことでした。その上で、福岡県では「福岡のアジア戦略」を策定し、イノベーション、中小企業支援、環境、人材交流などの分野で、アジアの拠点となることを目指しておられるとのことでした。
最後に知事は、学生へのメッセージとして、広い視野を持って自分の好きなことややりたいことに力を入れて下さい、と述べられ、講演を終えられました。学生からの質問にも丁寧にお答えいただき、大変有意義な時間となりました。
2009-11-28 01:39:51ゲスト講演「記者クラブの抱える諸問題の検討」
2009年11月26日木曜日、本大学院講義「情報管理論(法学研究科・曽我部真裕准教授担当)」において、読売新聞記者で岩波新書『名誉毀損』の著者でもいらっしゃる山田隆司さんをゲストスピーカーにお迎えし、記者クラブの抱える諸問題について、ご自身の研究を交えてお話しいただきました。
講義ではまず、「公的機関などを継続的に取材するジャーナリストたちによって構成される『取材・報道のための自主的組織』」という2002年日本新聞協会の見解による記者クラブの定義に触れられました。次に、記者クラブの起源と言われる1890年の議会出入り記者団の結成まで遡って、記者クラブの歴史と日本新聞協会による見解の変遷をご説明いただきました。そして、海外における例と比較し、日本の記者クラブ制度が、日本の新聞界の歴史と伝統の中で編み出された独特の制度であることを示されました。また、最近の動きとして、民主党新政権下においては、首相・外相を中心に記者会見がオープン化されつつあることをご紹介いただきました。
その上で、記者クラブに関して学説などで指摘されている問題点について、特に記者クラブに加盟する記者以外を事実上、取材対象に近づけないという排他性・閉鎖性の問題、記者クラブの加盟記者だけが取材対象から不透明な便宜供与を受ける特権性の問題の2点を中心に解説していただきました。他方で、様々な批判にさらされることの多い記者クラブですが、発表と取材のシステム化による的確な報道の迅速化、会見の主催権をクラブが持つことによる公的機関の恣意的な発表の制限、といった重要な存在意義があることを、学説の指摘などを踏まえてお教え下さいました。
最後に、記者クラブの問題を解決するにあたっては、日本新聞協会が組織として改革を重ねていくだけではなく、各記者クラブに所属する記者が個人として、主体性を持って記者クラブの在り方を再考していくことが学説などから求められていること、そして、問題を批判する際には、純粋な論理によるだけではなく、現状も踏まえ、様々な側面を考慮した上で評価することが必要だということを強調され、講義を結ばれました。
2009-11-26 04:15:15平成22(2010)年度 一般選抜結果と職業人選抜・外国人特別選抜出願期間のお知らせ
平成22(2010)年度入学京都大学公共政策大学院の入学試験のうち、一般選抜は終了し、2009年10月23日に合格者を発表しました。その概要は以下の通りです。
| 出願者数 | 159 |
|---|---|
| 口述試験該当者数 | 70 |
| 合格者数 | 34 |
| 合格最高点 | 275.5 |
| 合格最低点 | 247.0 |
| 合格者平均点 | 257.3 |
(400点満点)
職業人選抜については、出願期間が2009年12月1日から12月8日、試験日時が筆答試験2010年1月11日、口述試験2010年2月6日又は7日となっています。詳しくは募集要項をご覧下さい。
平成22(2010)年度入学外国人特別選抜については、出願期間が2009年12月1日から12月8日、試験日時が筆答試験2010年1月11日、口述試験2010年2月7日となっています。詳しくは外国人特別選抜募集要項をご覧下さい。
2009-11-26 02:26:49第1回 京都大学公共政策大学院・JIAM連携セミナー「公共空間における人材育成~地域を元気にするひとづくり~」平成22年1月15日(金)開催
- 日程:平成22年1月15日(金)
- 場所:全国市町村国際文化研修所(JIAM)
公共的な役割をになう強い倫理感をもった高度専門職業人を養成する専門職大学院である京都大学公共政策大学院と、地方自治体職員等の人材育成の専門機関である全国市町村国際文化研修所との連携により、これからの地域づくりを担える人材及び人材育成について考えるセミナーを実施します。
2009-11-25 09:38:31