自治体首長(神戸市久元喜造市長)講演会「真の意味での持続可能な都市を目指して」を開催しました
2025.01.31
自治体首長(神戸市久元喜造市長)講演会「真の意味での持続可能な都市を目指して」を開催しました。
参加頂けなかった方も、下記リンクから当日の動画をご覧頂けます。
日 時 : 2024年12月19日(木)16時50分~18時30分
場 所 : 京都大学法経済学部本館1階 法経第四教室
講演概要
今回の自治体首長講演会では、神戸市の久元喜造市長にご講演を賜りました。今回の講演会のテーマは、「真の意味での持続可能な都市を目指して」ということで、神戸市が取り組む、長期にわたる人口減少を真正面から見据えた持続可能なまちづくりについて、お話をいただきました。会場には多くの学生が集まり、市長のお話を熱心に聴講しました。
【神戸市 久元市長】
冒頭では神戸市の歴史についてご紹介いただいたほか、明治維新以後の都道府県と市町村の歴史について、お話していただきました。1868年の神戸港開港に端を発する、神戸市の都市としての起源や、明治時代の市制・町村制から昭和・平成の市町村合併を経て現在に至る、市町村の姿の変遷、さらには、それとは対照的に明治時代の廃藩置県以降、現在まで形を変えずに維持されている都道府県について、ご教授くださいました。
続いて、神戸市をはじめ、多くの大都市や日本全体でも進む、人口減少についてお話いただきました。久元市長は、人口減少時代にふさわしい自治体経営のあり方や政策を目指しておられます。その一つの例として、都心部でのタワーマンション建設規制があります。近年、日本全国の都心部で建設が続くタワーマンションですが、特に分譲型タワーマンションにおいて、修繕費用不足による荒廃や、地震などの災害時の対応といった点で、今後様々な課題があることを示されていました。また神戸市は、都市の内部に空き家・空き地が小さな敷地単位でランダムに発生する、都市のスポンジ化の課題も抱えています。そのうえで神戸市では、空き家・空地の解消等により、バランスのとれたまちづくりを目指しています。久元市長からは、空き家の再生・リフォームのほか、それらが難しいものについては解体し、別の用途で使えるようにするといった取り組みをご紹介いただきました。
加えて、人口減少社会においては、「既にあるインフラを有効に活用する」ことの重要性もご教授いただきました。神戸市では、新神戸駅から谷上駅を結ぶ北神急行電鉄の北神線について、市営化をすることで、大幅に運賃を値下げし、利便性の向上を実現しました。昨今は「官→民」への流れが多い中、「市民のために」という思いを第一に、必要があれば「民→官」にも取り組まれているというのが非常に印象的でした。
そのほか、今ある資産の活用という点で、里山保全のための人材育成や活動支援の取組みもご紹介いただきました。国の制度として、地域おこし協力隊というものがありますが、政令指定都市である神戸市は対象外であるため、神戸市独自に「神戸地域おこし隊」を創設し、神戸市の里山・農村保全を行っていることをお話いただきました。さらに、神戸の市街地に六甲山の木を移植して、近年の夏季の異常高温に対処していく「こうべ木陰プロジェクト」や、登山道やハイキング道の整備を行う「神戸登山プロジェクト」についてもご紹介いただきました。
久元市長にご紹介していただいた取り組みはどれも、既にある社会インフラを有効に活用し、バランスのとれたまちづくりを目指すもので、人口減少時代にふさわしい自治体経営のあり方の一つの例を示していただきました。
ご講演の最後には、参加者の質問にも丁寧にお答えいただきました。質疑応答では、久元市長の総務省時代のご経験やその中での学び、国と地方の目指すべき役割分担や情報伝達・共有の仕組み、子育て世帯や高齢者等を孤立させないための神戸市の取組み、タワーマンションの管理の在り方、公務員から政治家に転じたことで感じた政治家特有の難しさなどについて、わかりやすくご説明いただきました。参加者の方々も、興味深く聞き入っていました。
公務でご多忙な中、ご出講いただきました久元市長、誠にありがとうございました。
【神戸市 久元市長 ご講演の様子】 【質疑応答の様子】
主催:京都大学公共政策大学院
本講演会には大和リース株式会社から京都大学公共政策大学院への寄附金が活用されています。
問合せ先:自治体首長講演会 運営事務局 kyotouniv.lectureseries@gmail.com
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