大学院紹介

 

公共政策大学院の理念と3つのポリシー

京都大学の教育理念

京都大学は、創立以来築いてきた自由の学風を継承し、発展させつつ、多元的な課題の解決に挑戦し、地球社会の調和ある共存に貢献するため、自由と調和を基礎に、ここに基本理念を定める。

研究

  1. 京都大学は、研究の自由と自主を基礎に、高い倫理性を備えた研究活動により、世界的に卓越した知の創造を行う。
  2. 京都大学は、総合大学として、基礎研究と応用研究、文科系と理科系の研究の多様な発展と統合をはかる。

教育

  1. 京都大学は、多様かつ調和のとれた教育体系のもと、対話を根幹として自学自習を促し、卓越した知の継承と創造的精神の涵養につとめる。
  2. 京都大学は、教養が豊かで人間性が高く責任を重んじ、地球社会の調和ある共存に寄与する、優れた研究者と高度の専門能力をもつ人材を育成する。

社会との関係

  1. 京都大学は、開かれた大学として、日本および地域の社会との連携を強めるとともに、自由と調和に基づく知を社会に伝える。
  2. 京都大学は、世界に開かれた大学として、国際交流を深め、地球社会の調和ある共存に貢献する。

運営

  1. 京都大学は、学問の自由な発展に資するため、教育研究組織の自治を尊重するとともに、全学的な調和をめざす。
  2. 京都大学は、環境に配慮し、人権を尊重した運営を行うとともに、社会的な説明責任に応える。

京都大学大学院公共政策教育部における教育の目的について

  1. 京都大学公共政策大学院は、わが国のみならず世界的な規模で国家や公共団体その他の公共部門を大きく揺るがせている近年の激しい社会的変動を前にして、それらの公共部門が直面している諸課題に適切に対応しうる的確な判断力と柔軟な思考力をそなえた、また、公共的な役割をになう強い倫理感をもった高度専門職業人を養成することを目的とする。
  2. 京都大学公共政策大学院は、京都大学の長い知的伝統を踏まえた専門職大学院として、広い視野と深い洞察力を養うとともに現実の政策課題に適切に対処しうる実践的な知見を教授することを目標とし、高度専門職業人に求められる専門的能力、すなわち、社会的変化を歴史的視野で原理的に考察する知的能力、多元的価値の中で真の公共的利益を判断する洞察力、その公共的利益を実現する仕組みを提示する制度設計能力、策定された政策・制度を効果的に運用する実践能力、そして政策・制度を冷静に分析する評価能力などを、適切な教育課程を通して十分に涵養することを、教育上の理念とする。
  3. 京都大学公共政策大学院は、そのような能力を効果的に涵養しうる教育課程を確保するため、多様な人的資源を擁する指導的な公共政策大学院として、法学・政治学・経済学・経営学を有機的に結合した科目、実務経験者による具体的事例を素材とした科目、公共的世界を原理的・歴史的視点から展望する科目などを提供するだけでなく、一般的知識を習得する基本科目から公共政策専門家としての基礎知識を共有する専門基礎科目を経てスペシャリストとしての能力を育成するクラスター科目にいたる体系的な履修システムを整備するとともに、学生ひとり一人に履修及び進路に関する指導教員を配置して履修・進路決定上の相談に応ずる個別指導体制を設けるなど、きめ細かな学修上の対応に努める。

学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

平成31年3月7日 教育部教授会決定
  1. 所定の年限を在学し、本公共政策大学院が定めた教育の目的及び理念に基づき設定した所定のカリキュラムに従った教育を受けて、必修科目及び選択したクラスター科目の必要単位を含む所定の単位を修得することが、学位授与の要件である。
  2. 本公共政策大学院が定めた教育課程の下で、公共的な役割を担う高度専門職業人にふさわしい知見と能力、とくに社会的変化を歴史的・理論的観点から理解・考察する知力、多元的価値が存在する中で公共的利益を見極める洞察力、それを実現する制度や政策の具体的設計、それらの効果的・実践的な運用、客観的分析・評価等に資する各種の能力を確かに具備するようになったかどうかが、課程修了の重要な基準である。
  3. 今日世界的な規模で進行する様々な変動に伴って公共部門が直面する諸課題に適切に対応し、多様性を尊重しつつ、その調和と共存に寄与することのできる人材が求められているところ、そのような社会的要請に応え、国内外の各分野において公共性の高い業務に従事し、制度・政策の形成や執行、評価等を行う上で必要な専門的知見・能力とともに、豊かな教養に基づく長期的・大局的視野、柔軟な思考力や的確な判断力を備え、強い倫理的責任感を有する高度専門職業人となることが、課程修了に際して考慮されるべき重要な点である。

教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

平成31年3月7日 教育部教授会決定
  1. 広い視野、深い洞察力ならびに高い倫理性を備えた公共的な役割を担う高度専門職業人を養成するために、理論的科目、実践的科目、実務的科目を有機的に組みあわせ、段階的な履修を可能とするカリキュラム編成を行っており、コースツリーにおいて明示している。具体的には、基本科目(一部を必修科目とする)、専門基礎科目、実践科目、展開科目、事例研究科目といった五つの科目群を段階的に設けることで、公共政策に関わる総合的かつ専門的な学修を可能とする。その上で、実践科目、展開科目、事例研究科目においては、三つのクラスター、すなわち、政策分析・評価、組織間交渉、地球共生を設けることで、各自の専門に応じた政策・制度の分析・評価・設計・運用を行う能力の修得を可能とする。
  2. 講義科目と演習科目を通じて、原理的・体系的理解に基づきながら、公共政策に関わる的確な判断と柔軟な思考を修得できるようにする。双方向の少人数教育がいずれの科目においても重視される。加えて、事例研究科目では、実務家教員による具体的事案の多面的な検討・考察を通じて、公共政策についての実践的な技能の修得に加え、公共的役割を担う高度専門職業人としての倫理的責任感を涵養する。また、履修指導教員と進路指導教員による複数指導体制を設けることで、学修と進路の双方について、各学生に対する個別の助言を提供する。
  3. 各科目の学修成果は、筆記試験、レポート試験、演習・実習成果等に基づき評価し、その方法はシラバスにおいて科目ごとに明示する。インターンシップについては、実施報告などに基づき評価し、単位認定を行う。リサーチ・ペーパーとターム・ペーパーについては、所定の審査手続に基づく評価により単位認定を行う。

入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

平成31年3月7日 教育部教授会決定
  1. 本大学院は、中央・地方レベルにおける国内行政および立法機関、国際機関、NPO/NGO、シンクタンク等の職業に従事する者のほか、一般企業において公共的な業務に携わる者など、公共政策分野の高度専門職業人、すなわち、優れた教養と公共政策の立案・遂行・評価に必要な専門的知識を有し、高い倫理的責任感を備えた人材を育成することを主な教育目標とする。
  2. 本大学院は、公共政策に関わるいずれかの学術分野に関する基礎学力および高いコミュニケーション能力を有する者を選考の基本的な対象としつつ、公共政策分野における高度専門職業人を目指す国内外の大学学部卒業生、すでに広く公共政策に関わる業務に携わっており、より専門性の高い能力を習得しようとする職業人など多様な人材を受け入れる。そのために、一般選抜のほか、職業人選抜、外国人特別選抜を実施する。
  3. これらのいずれにおいても、筆記試験及び自己申告書等を踏まえた口述試験を組み合わせた総合的な方法により選抜を行う。筆記試験において、本大学院における学修の基礎となる専門的学識を備えているかを判定する。口述試験において、社会における諸問題への広く深い関心、思考の柔軟性、社会的使命感その他の公共政策分野における高度専門職業人を目指すに相応しい素養を備えているかを判定する。