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自治体首長(滋賀県三日月大造知事)講演会「~「生きること」も「死ぬこと」も~滋賀から問う新たな自治のカタチ」を開催しました

2023.12.06

自治体首長(滋賀県三日月大造知事)講演会「~「生きること」も「死ぬこと」も~滋賀から問う新たな自治のカタチ」を開催しました。

参加頂けなかった方も、下記リンクから当日の動画をご覧頂けます。

講演動画
【第一部動画】
【第二部動画】

講演資料
募集ページへのリンク

日  時 : 2023年11月15日(水)16時50分~18時40分 (開場16時20分)
場  所 :京都大学 国際科学イノベーション棟 西館5階シンポジウムホール
    (京都大学吉田キャンパス本部構内)

三日月知事プロフィール

講演概要
今回の自治体首長講演会では、滋賀県の三日月大造知事にご講演を賜りました。また、この首長講演会では初の試みとして、第1部の知事講演に続き、第2部として滋賀県が取り組んでおられる地域交通のビジョンづくりとその財源のあり方をテーマにパネルディスカッションを実施しました。

第1部講演会の冒頭では、三日月知事が自らのご経歴を話されました。JR西日本で駅員や運転士、労働組合でのご活動も経験された後、政治の世界を志され、衆議院議員を4期、国土交通副大臣等を務められたこと。その後、経験を活かし故郷の滋賀県に貢献したいという思いから、知事に立候補、当選されたことが紹介されました。

知事になられてから印象深い仕事として、新型コロナウイルス感染症への対応を真っ先に挙げられました。医療がひっ迫する中、府県域を超えた連携の重要性を実感されたそうです。また、関西広域連合の連合長、全国知事会の子ども・子育て政策推進本部長など、県を超えた活動にも積極的に取り組まれていることも紹介されました。

県政においては、基本姿勢として「対話、共感、共創」を掲げ、知事ご自身が県内各地に短期移住をして住民との距離を縮められるなど、北部地域の過疎化対応に挑戦されていること、社会経済や暮らしは自然の上にあるという考えのもと、琵琶湖版SDGsともいえる「マザーレイクゴールズ」を設定し、滋賀県らしい農業等にも力を入れていることなどを、歴史の中で培われた滋賀県の自治の伝統と共にお話されました。

さらに、子ども目線を取り入れた魅力ある公園づくりや、死を真正面から見つめ、生をより充実させることを目的とした死生懇話会というユニークな取り組みなどを紹介されました。

交通政策では、交通税の導入と地域交通のビジョンづくりを3期目の選挙公約として当選された上で取り組んでいることや、近江鉄道の再生に取り組まれた際は、市町と対話し、県が半分を負担する新たな枠組みを創設されたこと、県民参加型で、目指す姿(ビジョン)と財源(税制)の一体的な議論を行っているのは滋賀だけであることなどを力説されました。

ご講演の最後には、地域課題を財源の在り方を含め議論することが自治の本質という重要なご指摘がありました。ユーモアを交えたお話や、リアルタイムアンケートの活用も含め、学生も熱心に聴き入っていました。ぜひ皆さんも講演動画をご覧下さい。

  
【滋賀県知事 三日月知事 ご講演の様子】

第2部のパネルディスカッションは、「滋賀県の地域交通ビジョンづくりと財源の一体的検討について」と題し、三日月知事に加え、京都大学大学院経済学研究科の諸富徹教授、京都大学公共政策大学院の武藤浩特別教授をパネラーに、滋賀大学経済学部の松田有加教授のコーディネートの下、ご議論をいただきました。

滋賀県税制審議会の会長でもある諸富教授からは、地域の公共交通はまちづくりの骨格であり、交通税の導入という、負担と正面から向き合う三日月氏の姿勢が素晴らしく、今後も協力したいというご意見がありました。

国土交通省OBの武藤特別教授からは、地域の公共交通における国土交通省の政策について紹介がありました。公共交通における国の予算は限られており、地方の負担が国の4倍というデータも示されつつ、地方が主体となった財源確保の議論の重要性と意義を指摘されました。

三日月知事は県民参加のイベントでのアンケート結果を示されつつ、普段は公共交通を利用しない人でもその多くが必要性を理解していることや、税負担にも一定の許容度があること、また、公共交通の利用による健康や楽しさといった利便性以外の長所などを指摘されました。

諸富教授はそれを受け、多くの人々が公共交通の存在が町全体の活性化につながることを理解しており、交通税について参加型税制として議論することが地域のことを真剣に考えるきっかけになると述べられていました。

最後に、三日月知事は税をとることが目的ではない、交通のビジョンづくりを先行させながらも税の議論も逃げることなく行いたいとし、反対・批判に対して赤字路線の維持だけでなく、テクノロジーを活用するなど今より良くなる選択肢を示し、理解醸成・合意形成に取り組みたいと意気込みを述べられました。

その後は会場からの質疑応答を行いました。学生から、地域交通のあり方や知事の就職当時のキャリアビジョンなどについて、学生自身からの提案も含めて幅広く質問がなされ、三日月知事がご経験に基づき分かりやすく回答くださいました。

締めくくりに、コーディネーターの松田教授から、滋賀県の様々な仕事(諸冨教授と共に滋賀県税制審議会の委員など)に関わっているが、知事のリーダーシップの下、この交通税の議論に職員の方々がノリノリで(積極的に)取り組まれていることに驚いている、とのコメントがあり、会場が温かな笑顔に包まれました。

1部2部を通じて、三日月知事の滋賀県と地域交通への熱い思いが伝わる講演会でした。公務ご多忙な中ご出講頂きました三日月知事、ご登壇頂きました先生方、ありがとうございました。

  
【パネルディスカッションの様子】        【質疑応答の様子】

主催:京都大学公共政策大学院
本講演会には大和リース株式会社から京都大学公共政策大学院への寄附金が活用されています。

問合せ先:自治体首長講演会 運営事務局 kyotouniv.lectureseries@gmail.com

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